オリジナル小説サイト「渇き」

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022気付いてないでしょう

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中学生のとき、とても仲のいい男の子がいた。
当時は携帯電話の時代で、「ガラケー」とも呼ばずに「ケータイ」と呼んでいた。
彼は同じ部活の同級生で、いつも一緒にいて、学校の帰りはよく一緒に寄り道をした。寄り道と言っても道端でなんでもない話をずっとしているだけだ。
ケータイでもよく話をした。
当時の料金プランが「三人まで通話し放題」というもので、彼をそのうちの1人に登録していた。
なんでもないことで電話しようとショートカットキーで彼に電話をかけると毎回、YUIの「CHE.R.RY」がかかった。
ケータイには「待ちうた」という機能があって、呼び出し中の音声を自分で決めることができた。
 
『恋しちゃったんんだ、たぶん。気付いてないでしょう?』
 
電話をかけるたびにYUIがそう歌った。
彼はYUIが好きだったから深い意味はなかったんだと思う。
けれどもしかしたら僕へのメッセージだったのかもしれないと思うと頬が熱くなった。
 
結局、中学を卒業してからはほとんど会うこともなく、スマホ化によって連絡先も分からなくなった。
成人式で再会したとき「君のおかげで中学の部活頑張れてた。ありがとう」と言われた。
 
『星の夜願い込めてcherry指先で送る君へのメッセージ』
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