オリジナル小説サイト「渇き」

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021/恋人の残り香

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自分の布団とは、あまり仲がよくない。
よく蹴飛ばして起きたら足元で小さくなっている。
そのくせ抱き枕になっている親密な日もあれば、どっしりと僕に覆い被さって逃してくれない日もある。
 
要するに僕の布団は気まぐれなのだ。
 
と、布団のせいにする僕が気まぐれなのだろう。
 
そんなに高くもなかったチェーン店の布団。
それに僕は満足している。
一緒に寝た恋人たちの残り香があるような気がして落ち着かない夜もあるけれど、結局は僕の布団なのだ。
 
布団が生むストーリーに今日も思いを馳せ、僕は眠りについた。
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