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入院中、僕はあえて昼夜逆転していたことがある。
眠剤が効かないとか不眠とかではなく、昼間に寝られるだけ寝て、夜中起きていた。
昼間は、他の患者たちの声がした。
楽しそうに談笑する声。怒り狂う声。泣き叫ぶ声。
そういったものが怖くてたまらなかった。
幻聴すら混ざっていたと思う。
なので逃げるように昼は寝た。
夜。するのは道路を車が走る音だけ。
静かで、暗くて、世界でひとりぼっち。
なんて自由なんだろと心落ち着いた。
夜は、孤独という自由を与えてくれる。
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