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僕はスカートを履いてみた。真っ黒な膝丈のプリーツスカート。場所は来月から通う中学校の隣にある制服取扱店。嫌に緊張して、これを毎日繰り返すのかと思うと目の前が真っ暗になった。どうして僕は他のオンナノコみたいに進学する喜びを感じられないのだろう。
「お母さん、これ……」
「なぁに? サイズはよさそうだけど、丈はもう少し短くてもいいんじゃない? もう女の子は背が伸びないものよ」
僕は言いだせなかった。嫌だという一言が。
三年後、僕は都会に出て、家から一時間もかかる高校へ進学した。お母さんの予想を裏切って僕の背は普通のオトコノコより少し低いくらいにまで伸びた。これは神からのギフトなのかもしれない。
「はじめまして、こう見えて僕は男です。でも身体は女です。よろしくお願いします」
誰も知らない地で、僕はネクタイを締めた。
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